Table4「FTA:自由貿易協定-貿易制度を通じた地域協力のあり方」

Table Coordinator
古坂 純(中央大学法学部2年・写真左)

Assistant Coordinator
田上 雄太(一橋大学法学部2年・写真右)

近年、EU(欧州連合)などに始まる地域統合への動きが世界で加速しています。 その例として、アジアではASEAN(東南アジア諸国連合)や、将来の構想として「東アジア共同体」が挙げられるでしょう。

この流れの中で、FTA(Free Trade Agreement:自由貿易協定)という、物品の関税の撤廃、サービス貿易の障壁、 その他制限的な通商規則などの撤廃を目指した協定を基盤とした経済協調が世界では進んでいます。 アジアも例外ではなく、現在ASEANが自由貿易を地域内でFTAを結び、日本、韓国、中国もこの流れに沿ってFTA締結に積極的になっています。 この協定には貿易だけでなく、協定を結んだ国の間で知的財産権や、相手国への投資などといった様々な形での協力が含まれており、 締結国内での様々な形での協力が行われ各国の経済に良い影響をもたらしています。

しかし、締結国にとって利益が望まれるような協定の内容でないと協定締結に向けた交渉は難航し、地域協調は進みません。

例えば、日本の場合は、自動車、精密機械などの工業分野の輸出を推し進め、競争力が低い産業である農林水産業、 衣類などについてはできるだけ保護したいと考えるでしょう。 ですが、もし協定を結ぼうとしている国が「日本にもっと農産物を輸出したい、 日本は農産物の輸入を自由化すべきだ」などと言ってしまえば、交渉は農林水産業における利害の対立をめぐって難航しますし、 また、日本と同じく精密機械、自動車などを輸出の強みにしている国と貿易を結ぼうとすれば、 輸出量などをめぐって交渉は難航するでしょう。

このように、FTA締結に向けては締結国内での様々な利害の対立を調整したうえで、双方が納得行く形の協定でないとその効果を発揮しません。

そこで、本テーブルではどのようなFTAなら締結国が利益を最大限享受できるか、 すなわち「制度としてのFTAはどのようにあるべきか」を考え、 FTAが地域協調の架け橋となるためにどのようなことが必要かということを、過去の交渉の経緯、 貿易においてのルールなどを知ってもらった上で、 条約や過去の論議の事例などといった国際法の視点が必要になるところから考えたいと思っています。

具体的にはFTAの概要を知ったうえで、現在交渉中の日韓FTAを事例として、「制度としてのFTAがどうあるべきか」を考えたいと思います。 日本と韓国は隣接する先進国同士でありながら、FTAが結ばれてない状態にあります。 これは互いの国の産業構造が似ていることと、日本の競争力が低い産業である農林水産業、 衣類の輸入増大の懸念などから交渉が再開した今でも調整中です。 韓国の立場から見れば、日本からの企業投資を得られる面ではメリットがありますが、 精密機械、自動車などの産業が日本に支配されてしまうのではないかと言う懸念があり、交渉にあまり前向きではありません。

経済・文化面で歩み寄りが進んでいる日本と韓国の間において、締結国が最大限にその利益を享受できるような協力体制を考えることで、 今後の日韓における地域協力のあり方、ひいてはアジアにおいての地域協力について考えるきっかけになれば幸いです。