Table Blue:日韓連携~東アジア連携への第一歩~

Table Coordinator:青柳 俊久(東京大学文科二類2年)
Assiatant Coordinator:大澤 有砂(早稲田大学法学部2年)

今回のSTにおける私のテーブルで行おうと考えているテーマは「東北アジア共同体を想定した上での日韓連携」です。 グローバル化が進む中で、もはや一国が一国のみの力で自活していくことは難しくなっています。 第二次大戦以降、EUを主たる代表例として様々な地域共同体が設立されています。 その中でも、今回はまだ現実世界には設立されていない、東北アジア共同体、 ゆくゆくは東アジア(具体的にはASEAN+日中韓)共同体の設立を見据えた議論を行いたいと考えています。

今回のテーマを選んだ目標の一つには「友好関係の構築」があります。 こうした共同体を仮想する、ということは現実とかけ離れている試みですが、扱う事象は現実世界における諸問題です。 近い将来、各々の社会を担っていくであろう、日韓の学生が一緒に将来を考えることによって、 お互いを良きパートナーとして、信頼関係の構築の一歩に繋がることを願っています。 さらにそれが今回のSTの目標でもある友好関係の構築への一助となれば、と思っています。

2つ目の目標としては、日韓相互の社会に対する造詣を深める、ということがあります。 日韓両国がどのような問題を共通して抱え、あるいはどのような問題に立ち向かわなければならないのか。 そのような問題を明らかにし、対処していくためにはお互いがお互いの社会に対する理解が必要とされます。 共感がなくとも、理解があれば国際協調に帰結することができ、 その国際協調がアジア地域において最終的には共同体という存在の現出に繋がるでしょう。

今回でいう共同体というのはEUとは異なるものを考えています。 EUでは通貨統合を通じて政治的レベルの結合まで行う、かなり高次なものとなっています。 ですが東北アジア共同体ではそこまでの次元の結合は考えてはおらず、 経済的観点からより緊密な関係を築くことを当面の目標と設定いたします。 なぜなら、東北アジア共同体、さらには東アジア共同体を見据えるにあたって、 そのような関係が最も現実的であると考えられるからです。 地域共同体の最たる例はEUですが、ヨーロッパは民族的、言語的にも系統の近い人種の集まった地域であるのに対して、 アジアは仏教徒からキリスト教徒、イスラム教徒など宗教的に多様な地域であるうえ、 言語的にもヨーロッパよりも多様性のある地域であり、いきなり現EUのような政治的結合の話をしても現実味がありません。 むしろ、EUは今でこそ通貨統合を行い、様々な問題を内包しているとはいえ、政治的結合を達成しましたが、 EU、さらにはECの母体となっているのはEURATOMやECSCなどの経済的な組織です。 そういったことからもやはりまずは経済から、ということで今回、共同体の基盤をそのように設定いたします。

では、こういった共同体を構築するためには一体何が必要となってくるのか、なにを解決すればその土台作りとなるのか。 そこが今回のテーブルにおける論点になってきます。 共同体設立のためになにが必要になってくるのかを考えるにあたっては、様々な経済的、社会的、 政治的に問題を孕んでいる要素を取り除くことを考えなければなりません。 非常に多くの解決すべき問題があると考えられますが、すべては扱いきれませんが、鍵となってくるであろう事例を挙げます。 経済的な観点から、現在交渉中の日韓EPAをどのようにしたら締結にまでこぎつけることができるのか。 政治的、社会的な観点からはいまだに東北アジアに残る冷戦構造、すなわち北朝鮮問題、中国台湾問題、 さらには在日朝鮮・韓国人に関する問題などを議題に議論を進めます。 一見これらには一貫性がないようにも見えますが、最終的な目標には“共同体”を掲げているので、 それを意識しつつそれを構築するための必要事項とこれらをとらえれば、共同体創設という大きなコンテクストの中での議論になります。 最終的にはどのような協力体制を最低でも築きあげたらよいのかまで議論します。

確かにアジア地域では経済的交流が活発化してきていますが、それは政治的な統合が行われたEUと異なり、 いわば各国企業の努力(営利追求)によるところが大きいと言えるでしょう。 一方で、アジア地域にはいまだに分断国家の存在、核の危険性、領土問題、人身取引、知的所有権問題、海賊問題、 貧困など様々な問題があります。 これらは企業だけでは解決できない問題です。 将来の東アジア共同体に繋がりうる東北アジア共同体を日韓の法学生がともに考えるということは、 自分たちの将来について考えることです。 これを通じて、日韓の学生が将来に協力しあうことの意義を見出すことができると信じています。